2017年3月7日火曜日

欧州の危機 庄司 克宏

欧州統合の歴史・理念を丁寧に解説

 本書のタイトルは「欧州の危機」となっていますが、
EU成立の歴史的背景、理念を丁寧に解説しており、
EUを単に経済的メリットや労働者目線から分析する本とは一線を画します。

 まずは、「欧州統合方程式としてのモネ方式」についての解説からスタートし、
本書の核である「アラカルト欧州」「2速度式欧州」についての
詳細な解説・分析へとつながります。

 本書の分析で印象的だったのは、EU各加盟国のEU加盟の
動機が異なるということです。
イギリスのフィリップ・アンソニー・ハモンド
(Philip Anthony Hammond)外相の証言を引用する形で
以下のようにまとめています。(p41)

① EUを欧州において戦争を繰り返させない防波堤とする
 (原加盟国:独仏伊、ベネルクス)
② 軍事的独裁の時代を経て新たな民主主義国家を強固なものとする
 (ギリシャ、スペイン、ポルトガル)
③ ソビエト共産主義の支配から解放を確実なものとする
 (ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロヴァキア等の中東欧諸国)
④ EUがイギリスの経済的利益に資するので
 (イギリス)

 上記のように、イギリスはそもそも独仏伊といったEU主要国とは
EUに対するスタンスが異なります。

 また、イギリス離脱後にイギリスとEUがどういう協定を結ぶか?
EUがどうなるか?といった分析も一読の価値ありです。

 Brexitから始まる欧州危機問題を整理するためにも、
最適の良書と思います。

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