2020年5月29日金曜日

並べて学べば面白すぎる 世界史と日本史 倉山 満

日本がノンキな国でいられた訳


世界史と日本史を並べて論ずる本はいくつかありますが、
この手の本は、

「世界はこんなに進んでいたのにその時日本は...」

みたいな論点で語られることが多いかと思います。

本書はどちらかというと逆の視点から見た本とも言え、
欧州で血みどろの戦争・大殺戮を行っていた時に、
日本では小競り合い程度の戦争しかしていませんよ、
ということを日本史と世界史的の比較から論じています。

要は、日本はノンキな国だったわけですが、
ノンキでいられたには理由があるわけです。
それは「当時、日本は強かったのだ!」ということ。
この辺のシンプルな理由は一般的には理解されていないのでは?

ただ今や日本はノンキな国ではいられません。
この辺についてもきちんと本書では述べられています。

それにしても、教科書的な世界史というのは、
ヨーロッパを美化して描きすぎですよね?
本書を通読すると、この辺を改めて実感致します。

日本史・世界史を多角的な面から見て、
日本史・世界史ともに再考する意味では、
本書は非常に参考になるかと思います。

2020年5月26日火曜日

最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常 二宮 敦人

芸術家ってすごいということがわかる


東京藝大は言わずと知れた芸術系大学の国内最高峰。
とは言え、実際にどんな方が学んでいるのかは、
知り合いでもいない限りわかりません。

そのあたりのことが、読みやすく理解できるのが本書です。

本書は多くの学生、OBに取材をしており、
一風変わったそのエピソードは引き込まれるものがありました。

ただ、町一番に絵がうまかったり楽器がうまい人でも、
東京藝大ではそれがごく普通であり、
そこから一流アーティストになる道は更に険しい...

本書のエピソードは面白いと感じる反面、
非常に厳しい世界に生きている人達だというのも同時に感じましたね。

2020年5月21日木曜日

日本の古都がわかる事典 八幡 和郎

古都を旅するにも参考になる


「古都」と言えば奈良・京都を真っ先に思い浮かべますが、
本書では他にも鎌倉、平泉、太宰府等、
多岐にわたる古都を取り上げています。

遷都した理由を初めとした歴史的背景はもちろん、
地形的な特徴も詳細に説明してあり、
古都を理解するのに役立つ情報が多いです。

また、本書の特徴として、挿入された簡易地図に、
鉄道や鉄道駅などが記載されており、
かつての古都が今どうなっているか?
この辺も理解できて面白いです。

それぞれの項目が独立していますので、
興味ある場所だけ読むのも可能なのも良いですね。

各項目最後にある「名物メモ」と相まって、
古都を旅行する際の参考にもなる一冊かと思います。

2020年5月19日火曜日

怨霊になった天皇 竹田 恒泰

歴史における怨霊の役割を解き明かす


日本の皇室を語るうえで、実は避けては通れないのが
「怨霊になった天皇」のお話です。

本書によれば、これまで暗殺、呪殺、憤死などで
「怨霊になった天皇」が4人、皇族が7人もいらっしゃいます。

その中でも「最恐の怨霊」と恐れられた崇徳天皇を軸に、
後鳥羽天皇、後醍醐天皇について、
いかにして怨霊となられたか?
本書を通読するとこの辺りのことが良く理解できます。

表の日本史を勉強してもなかなかでてこない「怨霊」の存在、
ただ、神社の勉強などをしていると、
「怨霊」の存在は嫌でも意識せざるを得ないのですが、
この辺りを体系的に扱っている書物は少ないのが現状です。

そういう意味では、本書はコンパクトにまとまっていて良いかと思います。

2020年5月7日木曜日

総図解 よくわかる 日本の神社 渋谷 申博

実践的な神社入門書


本書は「神社を知るための25の基礎知識」からスタートし、
神社の成立の歴史、神社参拝作法等について基礎から学べます。

類書の神社入門書に比べて解説が丁寧で細かく、
写真・図表も添付されて理解しやすいです。

続いての「一度は訪ねたい名社・古社」のコーナーでは、
最初に日本の神社では特別な伊勢神宮の解説、
霊威神の神社では稲荷、氷川、八幡といった神社が多い理由を説明します。

個人的に本書のハイライトと感じたのが、
第6章の「諸国一宮・二宮・三宮 歴史紀行」です。

主要な神社を取り上げた本は数多くありますが、
諸国の一宮はどこので神社か?
という視点からまとめた本は多くありません。

基本は見開き2ページで各神社の説明をしていますが、
解説がコンパクトに纏まっていて分かり易く、
次回の神社巡りに大変に参考になりました。

最後に「日本の神社と神々の謎」について書いてあり、
神話や庶民信仰についての解説で締めます。

316ページと入門書としてはボリュームもあって読み応えありです。
神社巡りを始めたばかりの方や、
日本国内津々浦々旅行するのが好きな方に手に取っていただきたい本ですね。

2020年5月3日日曜日

誰も書けなかった日本の経済損失 上念 司

項目毎に日本の経済損失がいくらかを計算する試み


本書は日本が被っている経済損失が一体いくらなのか?
この辺を計算してみようという本です。

例えば、サービス残業やダラダラ会議が無駄であることは誰もがわかっていますが、
それが一体日本全体でいくらのロスになるのか?

この辺をきっちりとまとめた本は少ないので、
面白い試みかと思います。

本書は以下のような3部構成になっています。

第1章 生活・仕事に蔓延する損失
第2章 企業戦略・社会政策がもたらす損失
第3章 国家の戦略による損失

個人的には第1章が面白かったですね。
サービス残業やダラダラ会議に加えて、
ひきこもり、飲酒などの損失を分析しており、
考え方は参考になる部分が大です。

なお、本書のデータについてはインターネットの無料情報が中心とのこと。
従って、無料の情報だけでもこれだけの分析ができますよ!
という意味で参考になる部分と、
計算方法が結論むりやりかな?
と言う部分が混在している感じです。

ただし、計算方法・考え方がきちんと明示されていますので、
マクロ的な経済センスを磨くには参考になる本かと思います。