2019年11月18日月曜日

習近平の敗北 - 紅い帝国・中国の危機 福島香織

現状の中国問題を網羅的に解説


本書のタイトル的に、習近平個人に対する批判が中心の本かと思いましたが、
現在の中国が抱える主要なトピックスを網羅的にまとめてあり、
中国問題を理解する上で貴重な一冊かと思います。

ウイグル・チベット・香港やAI顔認識監視カメラによる支配等、
概要は何となくわかっているつもりのトピックスも、
その背景や現地の方の認識については知らないことも多く、
その恐るべき実態を知ることができました。

351ページの大作ではありますが、
臨場感があり読みやすいので、
あっという間に読了したという感じでした。

特別の知識が無くても読めるかと思いますので、
中国問題初学者にもお勧めできる本です。


2019年10月13日日曜日

成功していた日本の原爆実験―隠蔽された核開発史

日本は1945年8月12日に核実験に成功していた?


本書に記載されていることが事実であれば、
今までの歴史を覆す発見であるとともに、
今後の日本の国防にとっても重要な意味を持ちます。

そのことは本書の下記部分を読むと分かります。
" NPT(核兵器不拡散条約)によれば、核兵器の保持を許される「核兵器国」は「1967年1月1日の時点で既に核兵器を保有している国」と規定されている。1945年8月12日に核実験に成功していれば、日本は核兵器国としての資格を持つ。" p(30)

本書の内容が立証されれば、
日本が核兵器保有国になる大きな障害がなくなるわけなので、
核兵器を実際に持つか持たないかは別として、
これは大きな意味を持ちます。

また、本書は日本の核開発がソ連・北朝鮮の核開発に
与えたであろう影響についても考察しており、
興味深い論を展開しています。

一方、本書の訳文は極めて読み難いです。
直訳的な表現が多く、読むのに苦労します。

また、南京事件や731部隊について誤った通説を信じている節があり、
そのことが本書の内容そのものに疑義を抱かせる結果にはなっています。
(この点については訳者の解説もあります)

しなしながら、基本的にはなかなか示唆に富む内容の本であり、
著者の執念のようなものも感じさせる本ではありました。

2019年4月23日火曜日

知ってはいけない 金持ち 悪の法則 大村大次郎

税金を払わない日本の富裕層という大問題

著者は元国税調査官の大村大次郎氏で、
本書は日本経済に巧妙に張り巡らされた仕掛けを明らかにする本です。
要は、普通の人は決して金持ちなんかにはなれないよ!
という一見絶望的な内容の本です。

本書の目次は以下の通りとなっています。

第一章 激増する億万長者の正体

第二章 不動産で儲けているのは誰だ!

第三章 開業医の子供はなぜ医者になるのか

第四章 キャリア官僚「悪の錬金術」

第五章 富裕層の必須条件「税金は払わない」

第六章 そして金持ち世襲化する

第七章 悪の総本山「経団連」の深層

第八章 それでも庶民は金持ちになれる

本書のキモは、富裕層の必須条件は税金を払わないことであり、
それゆえ、金持ちは世襲化するのだ!ということを、
税金の専門家という視点から描いたものです。
また、経団連を悪の総本山と切って捨て、
大企業の利益を守るためだけの圧力団体と化した理由を説明します。

それでは不幸なサラリーマンが報われるにはどうしたら良いのか?

本書の第八章で解決策を提示しています。
それは、左翼思想を排したスマートユニオンを作り、
サラリーマンが団結することだという主張です。

ご趣旨は良くわかるのですが、サラリーマンが団結するのは容易ではないですね。
個人的にはこのあたりの主張をする若手カリスマ政治家が出てくれば
情勢は変わるかもしれませんが、現状では困難です。

いずれにしましても、金持ちが世襲化する社会の仕組みを把握するには良書ですね。


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2019年3月24日日曜日

定年3.0 50代から考えたい「その後の50年」のスマートな生き方・稼ぎ方 大江英樹

老後の「お金・健康・孤独」をどう解消するか?

本書は「老後資金と年金」や「老後の資産運用」「健康と趣味」
といった定番の内容に加えて、
老後の三大不安要素「お金・健康・孤独」についても述べられおり、
この問題をどう対処するかがコンパクトにまとまっていて読みやすかったです。

本書のコアな内容は「働くことで老後の不安は解消」というもので、
お金については働けばある程度稼げるのは当然の事ですが、
健康については
" ほんの少しぐらいならストレスがあった方が逆に心や体によい影響がある " (p57)
とし、
孤独についても
" 働けば必ず何らかの形で人との関わりが出来てくる " (p58) 
としており、説得力を持ちます。

定年後起業であれば、採算をそれほど考えなくてもやれるというのは、
ご指摘の通りですね。

ただし、一般サラリーマンはそれでも起業のハードルは高い気がしますが...

本書は類書に見られるような断定、決めつけは全くなく、
定年後のライフスタイルの筆者なりの提案をしているという感じです。

本書の最後の方にはこのような一文があります。

" ただ、誰にとっても「絶対正しい定年後生活」などというものがないのは確かですから、
「定年3.0」の世界では「老後生活はこうあるべき」といった周りの雑音などきにしてはいけません。セカンドライフは自分のやりたいように過ごすべきです。" (p269)

まさにこの通りで、本書を通読したうえで、
自分なりのセカンドライフを考える契機になる本と言えますね。


2019年2月15日金曜日

2020年、世界の覇権争い ~世界はどう動き、日本はどうすべきかを読み解く ペマ ギャルポ

日本の目の前の危機を直視せよ!

本書は国際政治学者である ペマ ギャルポ (Pema Gyalpo)氏による
現在の国際政治の情勢を書き記した本です。
「世界の覇権争い」という視点からアメリカ、中国はもちろん、
インド、ロシア、北朝鮮、アフリカとグローバルに論じています。

国際関係のパートは簡潔に良くまとまっており、
初学者にとってもわかりやすいかと思います。

ただ、本書を一読して一番考えさせられたのは、
第六章にある「中華思想の犠牲となったチベット」ですね。
氏の故国であるチベットがいかにして中国の覇権主義に飲み込まれたか?
このことが生々しく述べられています。
(中国侵略による死亡者は120万人以上!)

「日本人はチベットの滅亡に学べ」(p215) はまさに著者の叫びで、
国を守ることの重要さを痛感させられます。

日本の行く末を考えるには極めて意義のある本かと思います。

2019年1月30日水曜日

マンガ版 堀江貴文の「新・資本論」堀江 貴文

住宅ローンの考え方は同意だが...

本書で最初に読んで気になり同意するのは住宅ローンを組んで
家を買うことが大いなるリスクであること。
堀江さんが住宅ローンに反対する理由は以下の通りです。

① 長期の住宅ローンを組んでマイホームを買っても安心ではない。
 住宅ローンを払えなければどのみち追い出される。
 むしろ賃貸物件のほうが、借り手の方が立場が強いから、
 多少家賃を延滞しても支払いの意思さえ示せばいきなりは追い出されない。

② 地震大国日本で何千万円の住宅ローンを組んで家を買うのはものすごいリスク。
 地方ならともかく、東京で地震保険に入っても、
 損失が巨大になれば絶対に保障される見込みはない。

住宅ローンなど金融機関が儲ける為の仕組み作りという主張には頷けます。

ただし、堀江氏は
"どんなつながりでもいい、「人との関わり」さえあれば最低限は生きていける" (p73)
と主張し、貯金なんかより人的つながりを
セーフティーネットにしようと主張されています。
家を買って安心するより、いざというとき助けてくれる人的関係を重視というものです。

これは個人的には相当上級者的生き方ですね。
むしろいざという時の為にある程度の貯金が必要!
というのがシンプルです。

「お金の本質は信用である」というのはその通りですが、
そのことを人間関係で構築するよりはお金貯めた方が早いし確実かな?
なんてことを思いました。

本書全般としては、堀江氏独自の視点が多く、
参考になる点、考えさせられる点が多かったかと思います。
いずれにしても、世の中の本質を見抜く目を養うには良書かと思います。

ビンボーでも楽しい定年後 森永 卓郎

定年後を楽しく生き抜くためのノウハウ

本書は、見開き2ページで1つのトピックスで全部で81のトピックスを取り上げており、
それぞれの項目が独立して読みやすく、
また、自分の興味あるトピックスを拾い読みできる点は良いですね。

本書の構成は以下の通りです。

第一章 老後生活の展望
① 全体展望
② 年金
③ 住まい
④ 相続
⑤ 医療、介護、健康

第二章 資産運用

第三章 節約
① 節約の積み重ね
② ポイントの活用
③ 税金を取り返す
④ 割引を活用
⑤ 株主優待の活用
⑥ 小銭を稼ぐ

第四章 生きがいづくり

個人的に興味深く読んだのは「博物館ビジネスは成り立つか」(p172)
というトピックスですね。
個人的なコレクションを展示する博物館を1億8000万円かけて作った森永さん。
そんな豪快なお金の使い方をする人が節約術を語るというのが、
メリハリがものすごく効いている生活だな!と面白く拝読致しました。

2019年1月28日月曜日

米中貿易戦争で日本は果実を得る 高橋 洋一

データに裏打ちされた分析は流石!

米中貿易戦争は米国の圧倒的勝利に終わる!
これは、中国から米国への輸出額は米国から中国への輸出額の4倍なので、
関税の報復合戦ではそもそも中国に勝ち目はないわけです。

トランプはアメリカの国益を守るためには、
ここらで本腰を入れて、知的所有権保護や先端技術の優位を
堅持させないとやばい!と思っていて、
それを実行に移しているだけなのです。

本書でも中国に未来は共産党独裁放棄か経済崩壊のどちらか!
という予言をされていますが、本書を通読すればその点は理解できるかと思います。

日本についてはこの点は心配ないとは筆者の論ではありますが、
このまま財務省の好き勝手にさせてはやばいよ!と後半で記されています。

私も概ねの論旨は全くその通りだとは思いますが、
近々にそういった未来が来るかは少々疑問もあります。
財務省も中国もしぶといですからね。


2019年1月13日日曜日

まんがとカメラで歩く奥の細道 伊東 章夫 大石 好文

「奥の細道」をわかりやすく理解する

松尾芭蕉と言うと、なんかおじいさんのイメージがあるのですが、
(絵のイメージですね)享年51歳とのこと。
そんな事実を目にしてもういちど「奥の細道」を読んでみたくなりました。
いきなり原書を読むというのは少々ハードルが高い気がしましたので、
とりあえず、こちらの漫画を手に取ってみました。

本書はコミカルな漫画で奥の細道の旅をわかりやすく説明し、
写真で現在の芭蕉がたどった場所を解説するというスタイルです。
もちろん、メジャーな俳句の解説も載っています。

そういうわけなので、本書は初学者にもとっつきやすい本ですが、
むしろ、奥の細道に関係する観光名所を旅したい人にとって
恰好の入門書になると思います。

私は東北方面は結構旅行していて、
本書で取り上げられている場所にもそれなりに行っているのですが、
松尾芭蕉の足跡をメインに旅行はしませんでした。

今回本書を読んで、そういったスポットをかなり見落としていることに気が付きました。
いつかは本書を片手に再び東北の地へ行きたいものです。

2019年1月10日木曜日

日本を亡ぼす岩盤規制 既得権者の正体を暴く 上念司

日本の岩盤規制の現状を理解するには最適の書

本書によれば、岩盤規制によって日本国民は
毎年30兆円の負担増となっているとのこと!
実に

”毎年100兆円の国の予算のうち30兆円は無駄に使われていることになる”(p235)

というから恐ろしい話である。

本書では下記の8章に分けてその根拠を説明しています。

第1章:財務省
第2章:農業
第3章:放送・通信
第4章:銀行
第5章:NHK
第6章:医療・病院
第7章:保育園
第8章:朝日新聞

この中で私が一番興味深く読んだのが第8章の朝日新聞。
副題が「朝日新聞はいつ潰れるのか?」となっており、
朝日新聞の部数がどれだけ減少すれば朝日新聞が倒産するかを、
業績推移やキャッシュフローの観点から説明しています。
このあたりの説明は経済評論家として一流の氏ならでは!

"全国各地にいるアンチ朝日新聞の「一般市民」約一万人が、
毎月3~4件を目標に新規解約の勧誘をしていると聞く。" (p233)

こういった方々にも一つの指標となりますね!

日本の岩盤規制問題は歴史が長く根深いものがありますが、
この事情にあまり詳しくない方でも、
平易な言葉で書いてあるので理解しやすいです。
入門書的にも、あるいは、知識を整理するうえでもお勧めの本ですね。